• 相続税対策

    相続税対策の手順

    1. 相続税試算をして現状把握
    2. 後述する対策の中から費用対効果を考えて対策検討
    3. 実行・効果確認

    相続税早見表

    相続税法改正後の相続税早見表


    相続税対策の3つのポイント

    1. 節税したい!(節税対策)
    2. 遺産分割でもめたくない!(遺産分割対策)
    3. 納税できるか心配だ!(納税資金対策)

    下記には、相続税対策を一覧にした。自分の対策に漏れがないか確認できる。


    1.節税対策

    (1)贈与する

    イ.暦年贈与

    受贈者ごとに年110万円以下の贈与なら贈与税はかからない。子だけでなく、子の配偶者や孫にも贈与し受贈者を増やし、複数年に分けて行うことで贈与税も節税。相続人や受遺者への相続開始前3年間の贈与財産は、相続税の計算に算入される生前贈与加算制度がある。しかし、亡くなる時期は分からないため、コツコツ行っておく。


    ロ.生活費・医療費・学費は、贈与税が非課税に

    これらの費用の支払いの都度贈与を受け、その額が実費相当(社会通念上適当)なら非課税になる。申告不要。


    ハ.教育資金の一括贈与の非課税

    平成25年4月1日から平成27年12月31日までの間に30歳未満の直系卑属(子、孫など)に対して教育資金に充てるために贈与した場合には、受贈者毎に1,500万円非課税になる。上記ロと比べて、手続に手間がかかるが、一括で贈与できることがメリット。贈与者の判断能力がなくなった後や死亡後などの贈与ができなくなった後の教育資金も非課税になる。ただし、受贈者が30歳になった時に、使いの残しの金額があれば、贈与税がかかる。


    教育資金の一括贈与の非課税


    二.住宅取得等資金の非課税

    子や孫への住宅取得等資金の贈与をした場合には、下記の金額まで非課税になる。

    • 平成25年 1,200万円(省エネ等住宅以外の場合には700万円)
    • 平成26年 1,000万円(省エネ等住宅以外の場合には500万円)

    この資金は、住宅の一次取得だけでなく、自宅所有者の増改築や追加購入も対象になる。


    住宅取得等資金の非課税


    ホ.配偶者に対する居住用不動産又は居住用不動産の取得資金の贈与の非課税(贈与税の配偶者控除)

    婚姻期間が20年以上の配偶者間の居住用不動産(又は居住用不動産の取得資金)の贈与が最大2,000万円まで非課税になる。贈与税の基礎控除110万円も含めると2,110万円まで贈与税がかからない。


    しかし、不動産を贈与すると登録免許税・不動産取得税などの移転コストがかかること。さらに、1次相続(贈与者の相続)では相続税がかからないが、2次相続(受贈者の相続)では相続税の対象になってしまう。従って、2次相続も相続税がかかる人にはメリットが少ない。


    へ.特別障害者扶養信託契約に基づく信託受益権(特定贈与信託)の非課税

    特定贈与信託の価額のうち6,000万円まで非課税に


    (2)養子を入れる

    基礎控除(5,000万円+1,000万円×法定相続人の数)、保険金・退職手当金等の非課税枠(500万円×法定相続人の数)が増額し、さらに税率が下がる。ただし、人数制限あり(実子がいる場合:1人 いない場合:2人)


    (3)預貯金等の課税財産を非課税財産にする

    イ.生命保険金の非課税枠

    500万円×法定相続人の数

    配偶者が取得すると2次相続の対象になってしまうため、2次相続も節税が必要な人は、子が取得するといい。


    ロ.退職手当金等の非課税枠

    500万円×法定相続人の数

    中小企業の経営者・自営業(不動産賃貸事業者を含む)の人は、小規模企業共済に加入しておく。


    二.弔慰金の支給

    法人を持っている人は、弔慰金を支給すると、下記金額を支給しても受取人は非課税。あらかじめ弔慰金の規定を作成しておく。

    • 業務上の死亡の場合 普通給与の3年分
    • 業務上の死亡以外の場合 普通給与の半年分

    ホ.墓地等を購入

    消費したのと同じ効果、相続後に必要になるなら購入しておく。相続後に購入では効果なし。


    へ.消費する

    旅行する など


    (4)不動産の取得(建築・建替・増改築・リフォーム・購入)

    例.自宅の建替・増改築、賃貸マンション建築、投資用不動産の購入、配偶者・子所有の低収益物件の購入

    • 支出金額>取得財産の価額 
    • 新たに賃貸すければ、土地は約8割に、建物は7割に

    借金も検討:相続のときに遺産分割や納税資金で金銭が不足する人は、あえて借入でキャッシュフローを高めておくことも検討


    (5)小規模宅地等の特例の適用

    小規模宅地等の特例の適用が受けられるかどうか確認する。受けられなければ受けられるように対策が必要になる。受けられる人は、さらに高額な減額ができないか検討する。


    例.自宅に遺された母が1人で住んでいる。子は持ち家。賃貸不動産は所有していない。

    現状:自宅で小規模宅地等の適用が受けられない。自宅で小規模宅地等の特例の適用を受けたい。

    対策

    1. 同居する
    2. 持ち家を母に売却(売却後3年間以内の相続では適用なし)
    3. 持ち家でない孫に遺贈する

    また、自宅での適用にこだわらなければ、都心部の賃貸マンションを購入し、貸付事業用宅地等で適用受ける方法もある。


    小規模宅地等の特例


    小規模宅地等の特例は、2次対策も考慮すると配偶者ではなく子が受けた方が有利だ。例えば、1次相続で配偶者が適用を受けるよりも、1次相続で子が適用を受け、2次相続で別の土地に適用を受けた方が節税できる。


    (6)高収益物件を不動産管理会社に売却(又は親族に贈与)

    預金増加防止と所得税節税になる。貸事務所・貸店舗・貸倉庫、駅近の物件で借入の少ないものが高収益物件になる。これらを家族の資産管理会社に売却し、同会社から家族に給与を支払う。


    (7)不良資産の処分

    同族会社への貸付金で返済見込みのないものを債権放棄(又は証券化)、ゴルフリゾート会員権・自社株(経営権ないもの)の処分、貸地の売却


    (8)相続後にかかる費用を負担しておく

    イ.土地売却必要なら立退(又は借地権買取)・建物取壊・測量

    ロ.相続税申告の準備(あらかじめ土地を詳細に評価しておく)。相続税申告費用は何の経費にもならないが、生前に負担しておけば経費化できる。

     

    建替・修繕・リフォームなど相続後に必ずかかる費用をあらかじめ負担しておくことが節税につながる。相続前にこれらを行っておけば、相続税が安くなり、事業単体で見れば、「相続税補助金」が受けられる。


    2.遺産分割対策

    (1)遺言

    遺産分割よりも遺言が優先


    (2)生命保険

    保険金は遺産分割の対象外


    (3)養子を入れる

    相続分・遺留分が低下


    (4)贈与する

    相続人への贈与は、特別受益として相続財産にもち戻されることもある。


    3.納税資金対策

    相続人ごとに納税額を把握。不足する場合には、借入(延納)又は売却(物納)を検討。


    2次相続で、1次相続で子が取得した土地を売却したい場合には、交換して親の財産にしておく。売却時の譲渡税が安くなる(又は物納が可能に)。


    プラスワン

    預金は1つの銀行にまとめておく(銀行の数だけ名義変更・解約手続きが必要になる)




  • 相続・相続税の問題解決コンテンツ

    1.相続とは

    2.相続直後の手続き一覧表

    3.法定相続人・相続人・法定相続分・相続分

    4.遺産分割の基礎・流れ

      (1)相続財産

      (2)遺言がある場合

      (3)遺言がない場合(遺産分割協議)

      (4)遺産分割協議書の作成方法

      (5)失敗しない遺産分割のコツ

    5.相続財産の名義変更・解約方法

    6.限定承認・相続放棄

    7.相続税の基礎・相続税がかかかるか?

    8.相続税の課税財産・評価一覧

      (1)小規模宅地等の特例

    9.相続税の非課税財産

    10.相続税額の計算方法

      (1)相続税早見表

      (2)相続税額の加算と控除

    11.相続税の納税方法

    12.税務調査

    13.相続税見直し

    14.遺言

    15.贈与・贈与税

      (1)暦年課税制度

      (2)相続時精算課税制度

    16.相続対策・相続税対策

      (1)相続税改正後の相続税早見表

    17.入院・入所の際の身元引受人・身元保証人